260717 「軽い箱」を脱する——基礎を消し、土地と一体化する建築
『大野中の家0』
ゲニウス・ロキという言葉があります。
ラテン語で「その土地に宿る守護精霊」や「地霊」を意味する言葉。
古くから建築には、その土地が持つ固有の空気感や歴史、すなわち「ゲニウス・ロキ」を呼び覚ます役割があると言われています。
簡単に言えば、建築が建つことで、その場所の魅力がグンと引き上がるような役割を担っている、ということです。
この言葉は、建築の本を読むとちょこちょこ出てくる。
さて、一般的な木造住宅が抱える「地面との分離」について考察してみます。
一般的な木造住宅は【地面 + コンクリート基礎 + 木造部分】という構成をとる。
構造上・耐久性の上に不可欠な「基礎」だが、視覚的にはこれが地面と建物をピシッと切り離す境界線になってしまう。
結果として、建物が土地から生えているのではなく、
地面の上にぽつんと置かれた「軽い箱」のように見えてしまう。これでは土地との一体感や、
その場所ならではの力強さが薄れてしまうのではないかという問題意識を持っていました。
ただ、そうは言ってもシロアリ・湿気・配管の問題を考えると基礎は必要となる。
目だたぬように、基礎まわりの処理を丁寧に対応してきました。
220304 段差処理の考え方
誰もそんなところ気にしてないよと言えばそれまでなのですが
良い建築ほど、この足元の処理に並々ならぬ執着をもって対策を講じていて
藤森さんとそれっぽい建物を明確に区別するのはこの足元の処理の違いにあると思っています。
そんな問題意識から
1階をRC(鉄筋コンクリート)造とし、小屋組み(屋根まわり)を木造とする混構造を選択しました。
(理由は他にもありますが)
こうすることで、視覚的な「いわゆる基礎の立ち上がり」を排除でき
【地面 + 1階RC壁】となり、コンクリートの壁が地面(地球)の延長線としてそのまま立ち上がってくるような見え方になります。
現場に鉄筋と型枠が組まれている状況を見ると
おぉ~思っていた以上に、ゲニウス・ロキ(笑)。周辺の建物に比べて低い。
アプローチから見ても、視覚的な距離感がとても近いのがわかります。
建築においてはデザインはもちろん大事なのですが、いわゆる空間をどう考えるか。。。
この空間というのは、ひとつ飽きることへの対応 として意味があって
建物がどんな古びても価値が残り続けるものかと。


