250606 影がある

『日高の家』

高野山の奥の院に行くといつも思うことがある。

奥の院に至る道は新旧2つあって
旧来の道:樹齢何千年のスギが林立する参道
新規の道;車で近くまでアクセスし奥の院に横道からアプローチする参道。新しく切り開いた道。

新旧の大きな違いは樹齢何千年のスギがあるかないか。
スギそのものの存在感も大きいのですが、そこに落ちる影の意味。

この空間の違いに行く度に驚くのですが、何も知らない人は新規の道で奥の院まで行ってしまい
この荘厳な雰囲気を体感できずに勿体ないことをされているなぁ~と。

さて、本題ですが古材・自然素材に対しても同じようなことが言えてコウコウと灯りを照らしたり
大きな開口部を設けてサンサンと明るくしてしまうといわゆる新規の道を歩いているような乾いた印象になってしまい奥行きがでない。影を薄っすらまとうことで本来持つ魅力が引き出されてきます。

旧家のリフォームの場合、必然的にこの影が影響するようになるので雰囲気がでやすい。
照明計画なんかもその辺を意識してメリハリのあるものにしたい。

◆木部の塗装はベンガラ塗りで既存部分に合わせて頂きました ベンガラは鉱物が入るので見る角度によって色味が変わるのが良い