250707 A little thing
『日高の家』
大袈裟なコンセプトよりもちょっとした些細なことがすべてを決めてしまうなんてこともあって、学生のコンペなんかで壮大なコンセプトを求められることに慣れてしまうと一方でこういった、ちょっとした小さなことがなおざりになってしまって大味な設計になっている人が散見されます。かといって、ギミックに走って劇的〇〇のような路線もちょっと違うのでそのさじ加減が難しいところ。今回はその事例を2点紹介させて頂きます。
北廊下については、距離が長くなることもあって単調にならないように化粧柱と廻り縁を施工して頂くことで、視覚的に空間を分割しています。特に10mm程の細い廻り縁ですが、壁と天井の間に入ることでキリリと効いていて少しレトロな雰囲気が漂って良かったのではないかと思います。
トイレについて、初期の頃の案件 大野中の家2でも採用した、両方向から使えるトイレ。トイレや浴室、脱衣室というのは通常行き止まりになるもの。回遊性に制約が生まれどうしても間取りがワンパターンになってしまいます。ここ通れれば回遊性が生まれて、間取りが活き活きしてくるのになぁ~という場面がままあって、今回もそれを感じたので脱衣所と勝手口の方から出入りできるようにさせて頂きました。結果的には、外で作業をして勝手口に戻られてキッチンを通らずに脱衣所、浴室に行ってシャワーを浴びることも可能になりました。現場で居ても結構このルートを行き来するので便利な動線になっているかと。
(※注意としては、便所の蓋が自動で開くタイプにすると前を通る度に律儀に蓋が開閉するのでそれは避けた方が良いです。)
トイレが袋小路にならないと、一気に間取りのバリエーションが増えるのでワンパターンになっている人は検討してみてください。