250106 生きがい:茂木健一郎

健一郎と健二郎で何だか他人だとは思えない茂木さん。

ドイツのノンフィクション部門で18週連続一位となった、『生きがい』という本。
年初ということもあり少し触れてみたいと思います。

昨年読んだ本の中でおぉ~と最も響いた本。
いいねの数やフォロワー数により勝ち負けが可視化されやすい時代において
その数字だけが評価尺度になってしまいがち。
SNSをするはしくれとしても
この投稿をすれば閲覧数が増えるかなぁ~と多少は気にしてしまう。

自分の心が動いた物やこだわり、工夫を共有したいという無垢な気持ちからスタートしたものが
知らぬ間に反響を気にしながらいいねの数に一喜一憂してしまう。

そもそも「すきやばし次郎」は世界一の寿司屋という評価を受ける為に寿司職人になったわけではなく
日々目の前の課題に少しずつ改善し磨き上げることに『生きがい』を見出しそれを続けてきた結果が
ミシェラン三つ★という評価につながったと本書にはあります。

日常の小さなことにでも『生きがい』を見出すことで他者の評価に依存しない
幸福感や楽しみを得られる。本来それは『生きがい』という日本語があるように
日本人に備わっていた感性だとも書かれています。

自分の仕事に置き変えると
作品としてのアウトプットが求められる設計事務所としては
結局はSNSと一緒でいいねの数やフォロワー数を稼ぐ為に仕事をしなければならない境地に
知らず知らず寄せられているような感覚に陥って
instaやpinterestのなかで評価が高いもの=ニーズがある物という尺度で
スタイルを選びさえすればそれなりに時代に受け入れられるというような
つまり、本人の意思とは関係なくその辺りの感度が高いことが求められています。

そういった感度=自分のやりたい・良いと思うこと 
である場合は良いのですが、いいねを稼ぐ為にそちらに寄せていっただけの人にとっては
あるところまでくると空しさが漂うんだろうなと思います。

年末、NHKでイチローの特集がありましたが
今でも現役時代を超えるトレーニングを日々重ねている様子が伝えられ
この『生きがい』という尺度を用いると
結果を求められる現役を終えても尚努力し続ける姿勢でいられるのかが
わかるような気がします。

今年は46歳の年になりますが、年初のはじめに一度『生きがい』という言葉を定義づけて
身の回りのことを捉え直してみたいと思っています。
何かあいつ変わったことしてるけど、楽しそうっていうのが面白そうなので
本や旅、展覧会、生活等々、建築以外のことも少しずつ投稿して行ければと思います。

それでは本年もよろしくお願い致します。

◆文章も面白いので是非一読を!