240309 パトロンと芸術家
憧れの人として、杉本博司という人がいます。
写真家、古美術商、芸術家、作家、造園家、キュレーター、現代美術家と様々な肩書を持ち、圧倒的な知識と経験に裏打ちされた美意識により作品を作り続けています。
その集大成ともいうべき江之浦測候所という場所があって、自らの私財を投じて建築、ランドスケープ、能舞台等を作り続け、その場所について書かれた本『江之浦奇譚(えのうらきたん)』に備忘録としてまとめられています。
ここで注目したいのはパトロンと芸術家の関係性について。
まず、パトロンとは芸術家や科学者などを経済的に支援する人のこと。
安藤忠雄における福武氏(ベネッセコーポレーション創業者)、佐治氏(サントリー元会長)はあまりにも有名でChatgptに聞くと、『安藤氏は、パトロンとの関係を非常に大切にしています。安藤氏は、パトロンから単にお金をもらうだけでなく、彼らとの議論や交流から多くの刺激を受けたと語っています。また、安藤氏は、パトロンの意向を尊重しながらも、自身の建築哲学を貫くことで、独自の建築作品を生み出してきました。』と回答があるように相乗効果で芸術性を高めてきたことがわかります。
杉本博司にも何人かのパトロンが居るようなのですが、
面白いのが自信が芸術家杉本博司のパトロンになっていること。
写真家、古美術商、芸術家、作家、造園家、キュレーター、現代美術家と様々な肩書と書きましたが、
写真家として作品を多数発表⇒そこで得た収益で古物を集める⇒古物を集めるにあたって知識を吸収する⇒その知識を作家として書籍を発表⇒その収益でまた古物を集めその知識をもとに芸術に関する知見を深めキュレーターを行い⇒展覧会を開く為の建築空間を創造し⇒それをまた作品として写真に撮る。このようなサイクルをグルグルまわして、私財を蓄え最後に江之浦測候所を自ら作る。
このパトロン=芸術家という構図が杉本博司の中で完結しているのが魅力で凄く現代的だと思うところ。
このようなサイクルを意識して小さくても廻しはじめることができれば創造的な活動が面白くなるだろうなと感じる次第です。
写真は、Polar Bearという作品。それのポスターを購入しビュッフェファイブさんで額装頂きました。
プリントが素晴らしいです。