241128 刻む時には考えない

『日高の家』

基礎工事が終わり、大工さんが入る。
新築の場合はプレカット工場で木材をカットして現場ではそれをパズルのようにはめていくだけなのですが
こういった改修の場合はそれができない。

良くも悪くも水平垂直がきっちりと出ていない建物なので
適宜合わせて対応していくしかない。

大工さんは行ったりきたり微調整を繰り返しながら少しずつ刻んでいく。
気の遠くなるような作業ですがコツコツの積み上げ。

こういう現場、実際の作業をみていると
抽象化する感覚と実物に向き合う感覚が共存していないとうまくいかないように思う。
大工さんが時折、ぼぉ~っと一点を見ているときがあるけど
それは頭の中で何かを考えていて大事なポイントを抽象化して方針を決めている。
それが決まれば目の前の刻む作業に集中しそのタイミングでは迷いなく一気に仕上げる。

良い大工さんというのは
朝一に現場に来て一服して、昼休みには昼寝をしながら頭の中でアイドリングをしている。
そして作業が始まれば手が止まらずに集中する。
これが身についている人程ミスが少なく作業が早い。

一般的にはこのアイドリング時間がどんどんとスマホに奪われてしまい
あ!っという気付きやワクワクする感覚がスポイルされている。
アイドリング時間が無くなることで
作業と考えることが同時になってしまい負荷がかかってより疲れやすくなる。
設計作業も同じで意識しないとずっと頭を動かしている状態になっておかしくなってくる。

職人さんの動きを見ていると
未だこの住み分けができている職種だなぁ~と思う。

■増築部の建て方の準備

■土台据え 一本一本刻んでいく

■材料が搬入されています

■大引のかかりを刻む

■新しい床組:床下に砕石を敷くだけも随分きれいな印象になりました