250822 山代温泉総湯/内藤廣
内藤廣設計の 山代温泉総湯。
海南市からのルートはこんな感じです。⇒ルート
小6になる次男が福井県にある芝政ワールドのプール(家族でプールに行くなんてことはもう最後だろうなと思いながら)に行きたいということで北陸を旅行してきました。せっかくなので建築探訪ということで、加賀市まで足を延ばして山代温泉へ。目的は街の中央にある公衆浴場、山代温泉総湯。2012年のグッドデザイン賞なのでおおよそ13年前の計画。内藤さんの設計思想は、街の文脈を丁寧に読み解き懐の深い意匠と空間で老若男女幅広い層に受け入れられるのが魅力。商業建築では とらや、公共建築では グラントワ、 牧野富太郎記念館なんかが有名で、全国各地で素晴らしい建築を作られている。
さて、飲食店なんかに行くとそこに来ているお客さんの構成を先ずは観察します。辻調べによると、老若男女幅広い年齢層が訪れ、特に高齢者比率が高いところの方が美味しい食事を提供し、かつリーズナブルなところが多い。当然ですが高齢者程食事経験が多いわけで舌が肥えている。また、一見ではなくて通っている可能性が高くてこの観察は的を得ていると自負しています。これは実は建築にも通ずるところがあって、お洒落ではあるけども特定の年齢層しか使っていないもの、特定の年齢層にしか共感されないものというのはあまり長生きではない。海の博物館について書かれた内藤さんの文章で時間という概念を取り込むと自ずと選択肢は限られてくるというのがありました。素材選びや意匠、空間について長きにわたる時間に耐えられる建築という視点を持つことは強みになると学んだ記憶があります。
この、山代温泉総湯にも同じような思想が通底していて、その中でも大きさが絶妙。大きすぎず小さすぎず、道幅、軒先の高さ等々すべてがしっくりと納まっています。また、高齢のという文脈でいうと、番台に座られていたおばちゃんの対応が情緒を倍増させていて営業時間の最終間際にいったこともあって悪気の無いぶっきらぼうな対応も良かったです。是非、近くに行かれた際は総湯に行かれて入浴後は2階にある待合で涼んでみてください。ここにしかない空間が堪能できます。