学生の頃、バックパックを背負ってはいろいろなところに旅行をしていました。
日本はもちろん、ヨーロッパ、アジア、北米、南米とその土地にある建築を実際に体験する為に。

当時、最先端と言われるスター建築家のものから
巨匠と呼ばれる人の作品
建築史の教科書に出てくるような古いものや風土に根差した建築まで選り好みせず見て回りました。

そういったリアルな体験を繰り返すうちに
自然と自分の好みというのが生まれてきて、その経験が今の設計スタイルに通じる基礎となっています。

『中庸なデザイン』

これは実際にお施主さんから評された言葉で、今ではとても大事にしている言葉です。

中庸(ちゅうよう)を辞書で引くと
【中庸:どちらにも片寄らないで常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること】とあって、本当に素敵な言葉だと思います。

たくさんの建築を見るうちに
和風とか洋風とか、モダンとか表層的なものの違いで建築を考えることに興味がなくなってきて
本質的に美しいものであったり、ぬくもりが感じられるもの、時の変化に耐えられるデザインを大事にしたいと思うようになりました。

開業以来、そのような想いをもって取り組んでおり
お施主さんの年齢層が、20代~80代と幅広くお声掛け頂いていることにつながっていると実感しております。

表層的なスタイルを意識しなくなると、お施主さんが本質的には何を求められているのかを意識するようになります。
テーラー(仕立て屋)という言葉が馴染むのですが
実際の打合せではたくさん話をお聞きしてお施主さんにあったスタイルや、身長に合わせた寸法、年齢に合わせた空間を引き出すことを大事にしています。
対話によってそれぞれに仕立てられた建築は、私個人だけで完結するものよりも豊かで多様な展開をしていき、より深いものになっていきます。
そういう意味で建築というのは設計士一人で考えられるものではなくて、お施主さんとの対話があって作られるものだと考えています。

将来、ご縁頂いた新たなお施主さんとの対話によって
新しい価値観やアイデアが生まれ、『中庸なデザイン』がより深いものになって形づくられていくことを楽しみにしています。

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